遺言書と遺書、エンディングノートの違い!法的効力があるのはどれ?


遺言書と遺書がどう違うのか、よく知らない方も多いのではないでしょうか?

大して違わないでしょ

いいえ、遺言書と遺書は全然違います!

ちかごろは自らの死後、遺された家族が困らないためにエンディングノートを書く方も増えましたね。

もちろんエンディングノートの性質も、ほかの2つと異なります。

ここでは遺言書と遺書、エンディングノートの違い、それぞれの活用法、どんな人に適しているかを解説します。

遺言書と遺書、エンディングノートの違い!

遺言書と遺書、エンディングノートの違いを簡単に区別すると、次のとおりです。

遺言書 遺産の相続や分割について希望することを書く文書
遺書 死ぬ間際に書き遺す無念な気持ちや、誰かに対する恨み、家族への想いを綴った感情的なメモなど
エンディングノート 自分の死後、家族がスムーズに遺品整理などができるよう個人情報などをまとめて記しておく、表現の自由度が高いノート

 

このように遺言書と遺書、エンディングノートでは、性質がまったく違います。

それぞれを目的別に使い分けるのがよいので、必要であれば3つとも書き残しても全く問題ありません。

でも3つも書くなんてちょっとメンドクサイな

そんな方は自分に必要なものはどれかを考え、目的にあったものを選んではいかがでしょうか。

法的効力があるのは遺言書!どんな人におすすめ?

遺言書(遺言状)は、「長男の〇〇に預貯金の1/2を相続させる」など、具体的な相続の内容を記すことが主な目的で、法的な効力があります。

遺言書を残しておけば、(その内容があまりにも偏ったものでない限り)遺産分割を自分の望みどおりに決めることができるのです。

遺言書は次のような人にオススメです。

  • 相続財産の種類が多い
  • 自分の死後相続争いをさせたくない
  • 特別に相続させたい人がいる
  • 相続させたくない人がいる

遺言書に書くべきことは相続のことや財産のこと、身分に関すること(子供を認知する)など限定的なものです。

遺言書を書くときの注意点!書き方のルールを守らないと無効に

ただ遺言書には注意しなければならない点もあります。遺言書を作成するときの注意点とは、次のとおりです。

  • 書き方のルールを守らないと無効になる
  • 内容によっては相続争いの原因になる
  • 保管場所に気を付ける必要がある

自分で書く遺言書を「自筆証書遺言」といいますが、自筆証書遺言は紙とペンがあれば作成できる手軽さがある反面、書き方には厳格なルールがあります。

自筆証書遺言についての詳しい解説は「自筆証書遺言の要件と文例を紹介!」をお読みください。

遺言書の内容にも気を付ける必要があります。

「財産のすべてを愛人の△△に相続させる」など、遺族の間で争いがおきるような、極端に偏った内容にすべきではありません。

「財産のすべてを愛人に遺し、配偶者に1円も遺さない」のはあまりにも偏りがあります。

そもそも相続を受ける権利のある法定相続人には、遺留分(最低限守られるべき相続分)があり、相続人には遺留分を取り戻す権利が与えられています。

遺留分について解説は、「法定相続人の遺留分とは?」でしております。

遺言書に書くのであれば、ある程度、皆が納得できる内容で書いておくことをおすすめします。

また遺言書の保管場所は注意しましょう。

大切にするあまり貸金庫などに入れてしまわないように!

貸金庫は名義人が亡くなると凍結されてしまい、開けるまでに何カ月もかかることがあるためです。

遺書(いしょ)は死の直前に書かれることが多い手記

↑ 遺書の一例 

遺書は遺言書と違い、形式などは一切ありません。

自分の心の赴くままに、どのようにでも書き記すことができます。

よくニュースでも、不審な死を遂げた人が「遺書を残していたかどうか」を焦点に報道されることが多いですね。

遺書のあるなしで、自殺か他殺かの判断材料ともなりえます。

また遺書は、自殺だけに限定されるものではありません。

1985年の日航機墜落事故では、事故に至るまでの過程を書き残した被害者がおられましたが、予期しない死に直面し、混乱した心境を綴った手記も「遺書」のひとつ。

「なにか最期に言い残しておきたい」

こういった強い信念が、遺書の原動力なのかもしれませんね。

エンディングノートが選ばれる理由は「手軽さ」

遺言書や遺書と違って、エンディングノートはカタカナ書きの字面のせいか、ずいぶん身軽な印象を受けませんか?

実際そのとおりで、法的な拘束力がないかわりに特別なルールもなく、思い立ったときにすぐにでも書くことができるメリットがあります。

遺言書を書くほど大げさなことはしたくないし、遺書を書くのはちょっと違うし・・・

そういった方は、エンディングノートを書くことをおすすめします。

エンディングノートには自分のプロフィールのほか、財産になにがあるか、金融機関などの暗証番号、お墓のこと、葬儀のこと、飼っているペットをどうするか、友人の連絡先、そのほか家族に伝えたかったメッセージなどなんでも自由に書くことができます。

書き終わったあとしばらくして書き忘れていたこと、書き直したいことが出てきたとしても、簡単な修正でOKなのがメリットです。

まだ若いのにエンディングノートなんて早いかな?

いいえ、そんなことはありません。

若くてもいつなんどき、何が起こるかはわかりません。

むしろ若い方はパソコンやスマホでさまざまなサービスを利用しますよね。

パソコンやスマホのパスワード、インターネットバンキングやネット証券の暗証番号、ツイッターやフェイスブック、ショッピングサイトのログインIDとパスワードなど。

自分の死後、家族に知らせなくてはならないデジタル情報は、若い人ほどたくさんあります。

わたしは40代ですが、エンディングノートらしきものはきちんと書き残していますよ。

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遺言書と遺書、エンディングノートは目的よって使い分けよう!

この記事では遺言書と遺書、エンディングノートの違いと、それぞれの使い方について解説してきました。

図に表すと、こんな感じではないでしょうか。

財産や相続について書き記すのが「遺言書」、死に瀕した人が不平不満や心境について吐露するのが「遺書」、さまざまな事項を包括的に記すことができるのが「エンディングノート」です。

「遺書」はひとまず置いておくとしても、「遺言書」か「エンディングノート」ではどちらから書くべきかと迷っている人は、自らの人生を振り返る意味でもエンディングノートから取り掛かることがおすすめです。

エンディングノートを書くことでやり残したことは何だったか、これから何をすべきなのか、ボンヤリとながら輪郭が見えてくるのではないでしょうか。