終活ビジネスが熱い!イオンなど多数の企業が参入
平成29年発表の人口推計(総務省統計局発表)では、日本の総人口は前年に比べ約16万人が減少し、減少幅が6年連続で拡大しています。
この表をご覧ください。
これは2018年度、総務省より発表された人口ピラミッド。
団塊の世代が定年を迎え、労働人口はより一層少なくなりました。
さらに20年が経過すれば、団塊ジュニア世代もリタイアすることになるので、このまま少子化を食い止めることができなければ、日本の経済は衰退する一方です。
そんな中、この逆境を逆手に取り、多くの企業が新ビジネスの開拓に意欲的です。
それが新しいアイデアの創造から生まれた「終活ビジネス」。
しかし終活ビジネスと一口に言っても、さまざまなものがあります。
この記事では終活ビジネスとは何なのか、どんな企業がどんな奇抜なアイデアでビジネスを展開しているのかを紹介します。
Contents
終活ビジネスとは?多死社会間近の新しいビジネスモデル
そもそも終活とは、自らが満足できる最期を迎えるため、体が動く元気なうちにあらかじめ準備をしておくこと。
終活について詳しい解説は、「終活とは何か?生きているうちに終活をするメリット」をお読みください。
死はいつ、だれにでもやってくるものであり、だからこそ終活は若いからやらなくてもいい、というものではありません。
終活の需要は、あらゆる年代に関係するものなのです。
そういうなかで、終活ビジネスとはどのようなものを指すのでしょうか。
終活ビジネス事業の一例
- 仏壇仏具
- 墓地、墓石
- 葬儀、法要、埋葬
- 遺言
- 相続
- 介護
- エンディングノート
葬儀や法要ひとつとっても、さまざまな宗教や宗派があり、最近では墓を持ちたくないという人の増加から「散骨」などの埋葬方法も選ばれています。
新しく生まれているユニークなサービスをいくつか紹介します。
読経するロボット「ペッパー導師」!お坊さん不足を解消する救世主
ロボットが読経をするという、ウソのようなホントの話。
ソフトバンクグループの人型ロボット「ペッパー君」を使い、無人法要を行うサービスがあります。
派遣される僧侶の名前は「ペッパー導師」。
人件費をかけることなく、あらゆるお経を読ませることができ、お坊さん不足の地方では重宝しているそうです。
葬儀会社はIT化が遅れているかと思いきや、意外にも最先端のIT技術を駆使して高齢化に対応しているんですね。
近頃は寺の檀家に入らない家も増えています。無宗教の家庭に重宝されそうなサービスですね。
墓地がいらない宇宙葬!死後はロケットで夢の宇宙旅行
テレビやメディアで取り上げられることも多くなったのは、宇宙葬という新しいサービス。
宇宙葬といっても、バルーン(風船)に遺灰を入れ大空に飛ばすものや、実際にロケットや人工衛星に遺灰を搭載して宇宙空間まで飛翔するものまでさまざまなものがあります。
死後、夢の宇宙旅行を楽しめる宇宙葬は、遺骨の埋葬というよりメモリアル葬的な意味あいが強いといえるでしょう。
現在、ロケットや人工衛星で発射する宇宙葬の本場はアメリカですが、将来的には国産宇宙ロケットで宇宙葬ができる日も来るかもしれませんね。
宇宙葬の種類や費用など詳しい解説は、「宇宙葬とは?依頼できる会社や必要な費用(価格)を解説」をお読みください。
ドライブスルー葬儀場は賛否両論が!お悔やみの簡略化は常識に?
気軽に短時間で、車に乗ったまま焼香ができる、ドライブスルー葬儀場が賛否を呼んでいます。
送られる側だけでなく、送る側も高齢化しているので、参列者は身体的ハンデを持っている方も多いのが現状。
通常、焼香をするには長蛇の列に並ばねばならず、葬式や告別式はお年寄りにはなかなか過酷です。
身体はしんどいけど、せめて最期のお別れはしたい・・・
そういった需要に、ドライブスルー葬儀はうってつけ。
またあらゆる面で効率化が進んでいます。
芳名帳も車内で操作できるタッチパネル方式のため、そのつど車を乗り降りする必要がありません。
車で来た参列者はすべてリスト化できるので、あとでお礼や香典返しを送付するときも簡単ですね。
参列者だけでなく、葬儀を取り仕切る側にとっても、その便利さが納得できるものとなっています。
しかしその一方で、「焼香まで簡便化するのはどうなんだ」という保守的な考えもあります。
終活ビジネスに乗り出す企業!柔軟なアイデアでニーズを探る
このように、さまざまなニーズに柔軟に対応する終活ビジネス。
一体どんな企業が、どんな戦略で新しい終活を模索しているのでしょうか。
いずれにしてもインターネットをより有効的に活用した企業が、生き残るといえるでしょう。
数ある終活ビジネスを展開する、将来に期待が膨らむ企業を紹介します。
イオンのお葬式で終活を身近に!イオンライフ株式会社
イオンが「終活」を売り物にしている、と聞いたらあなたは意外に思いますか?
「イオンのお葬式」というサイトに、多くの人が関心を寄せています。
毎日スーパーに買い物に行くような感覚で終活を考える、そんなライトさが利用者の心をつかんでいるのかもしれません。
イオンの終活は、お葬式やお墓、永代供養、遺品整理、散骨、ペット供養に至るまで、それぞれの地域に根差した業者と利用者の橋渡しをします。
「なんでも任せられる」「ないものがない」という安心感は、利用者にとって何にも勝るメリットですね。
24時間365日体制で、コールセンターが設置されているのも便利です。
東証一部上場の鎌倉新書!葬儀社と利用者のマッチングサービス
葬儀や仏壇、介護、相続などのサービスを提供する業者とその利用者を、インターネットを介してつなぐサイト運営で収益を上げているのが、株式会社鎌倉新書。
2015年に東証マザーズに上場し、2017年には東証一部に指定替えを果たすほど、破竹の勢いで成長性している企業です。
「困った」ときにすぐに電話で相談でき、迅速に対応してもらえるところは、さすが上場企業です。
それぞれジャンル別に「いい葬儀」、「いいお墓」、「いい仏壇」など、総合満足度ナンバーワンと言われるほど、利用者の評価が高い葬儀ポータルサイトを運営。
エリアごとに業者を検索することができ、地域別のマナーや特徴を紹介。ユーザーは利用者の口コミや評判を読むことができ、具体的なプランも確認できるので、見積依頼がしやすくなっています。
「いい葬儀」では、なんと海外対応も可能。
亡くなった方を日本に帰還させることも、亡くなった方が外国人なら母国に送還させることも依頼できます。
株式会社みんれびはリーズナブルな定額葬儀を提案
インターネットを利用して低価格で高品質なパッケージ葬を提供するのは、株式会社みんれび。
お葬式って料金がはっきりしない・・・
これまでのお葬式は料金体系がわかりにくく、利用者は葬儀会社にいわれるままに高額な葬儀費用を支払っていました。
しかしみんれびの提供するサービスはどれも価格があきらかで、しかも低価格。
「葬式を行わず火葬だけ」「通夜を行わず葬式だけ」というように、ユーザーが必要だと思うサービスだけをチョイスできるようになっており、それぞれの料金が明示されているので、利用者が感じていた葬儀にかかるお金の不安が取り除かれました。
それだけでなく「安くても豪華が式がいい」というユーザーの声を反映し、祭壇をいっぱいの弔花で華やかに飾るプランを、50万円以内で行うことができるなどのオリジナリティも。
基本となるプランは、14.8万円~49.8万円までの4タイプ(13種類)
そのほか、海洋散骨「Umie」、宇宙葬「Sorae」などにも話題が集まっています。
終活ビジネスの問題点!これからの終活事業にインターネットは必須
高齢化、多死社会に突入した日本において、必要不可欠なビジネスとなった終活事業。
インターネットを利用した終活ビジネスの発展にともない、従来通りの経営を続ける葬儀社はシェアを奪われた傾向にあります。
利用者の視点や行動から、これまでの葬儀業界のありかたにおける問題点が浮き彫りになってきました。
葬儀業界の問題点
- 不明瞭な料金体系
- 負担になる互助会の積立金
- 荼毘に付すまでの連携
- 労働力の確保
葬儀には莫大な料金がかかるのは当たり前で、その負担を少しでも軽減するために互助会に入り、毎月一定額の積立金をするのが一般的でした。
逆に互助会に入らなければ、突然の大きな出費に一般家庭は対処できなかったのです。
いまだに老舗の葬儀社のなかには、利用者の足元を見るような営業を続けているものもあります。
また、病院で亡くなってから遺体の運搬や、告別式までの遺体の安置場所など、最終的に荼毘に付されるまでのスムーズな連携が確立していなかったところが非常に不便でした。
こういった問題点を解決しない葬儀会社は、いずれ淘汰されざるをえません。ユーザー目線のサービスに切り替え、さらにプラスアルファとして斬新なアイデアを打ち出す必要があるでしょう。
さらに葬儀会社にも、労働力の問題が重くのしかかります。
葬儀会社だけでなくどの業界も労働力不足に悩まされているなか、「死」や「弔い」といったあまりイメージがよくない業界に若い人材が流入するとは考えにくいでしょう。
葬儀には当然人の手が必要になります。増え続ける需要に、労働力が追いつかないという問題に、どのように対処していくがが焦点となります。
利用者の鋭い評価が分かれ道に!終活ビジネスの活路はユーザビリティー
この記事では、終活ビジネスについて紹介してきました。
終活は「だれもが必ず考えなければならないもの」であり、その必要性・重要性が改めて認められ始めています。
これまで葬儀や葬式を「節約する」「けちる」ことは憚られてきましたが、インターネットの普及に伴い、グレーだったお葬式が明確になるとともに、利用者からは正当な料金が求められるようになってきました。
パソコンやスマートフォンでしっかり情報収集を済ませ、あらかじめ予備知識を付けている利用者に、向き合う企業側の姿勢が試されているのです。