公正証書遺言の作成に必要な証人とは?資格や要件、注意点を解説
公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言書(ゆいごんしょ)です。
公正証書遺言は公証役場で公証人が作成するため書きまちがいがなく、作成後もうっかり紛失してしまうこともないので安心。
このようにいろいろとメリットが多い公正証書遺言ですが、作成には「2人以上の証人」が立ち会うルールになっているんですよ。
証人が2人も必要なの?
その証人にはどんな責任があるの?
どんな人を証人にすればいいの?
・・・など証人に関する疑問点は、いろいろありますね。この記事では公正証書遺言の作成に必要な「証人」について解説します。
Contents
公正証書遺言の作成に必要な立会証人とは?証人の意義と役割
公正証書遺言の作成には、2人以上の証人が立ち会う必要があります。
なぜなら、次のような理由があるから。
- 公証人が正確に遺言を記載しているか確認する
- 遺言の正当性の証明をする
「公証人」と「証人」は名称が似ていますが、別の人なので注意しましょう。
公証人とは、遺言書作成を直接行う公証役場の役人。証人とは、遺言書の内容が間違いなく記録されているか確認する人のことです。
証人は公正証書遺言の作成時、かならず同席しなければなりません。その理由は遺言の正しさを証明する役割があるためなんです。
公正証書遺言・証人の必要書類!住所などの確認書類と印鑑が必要
公正証書遺言の証人は、証人が本人であることの証明として、「住所・氏名・生年月日・職業のわかるもの」を持参しましょう。
- 住民票
- 運転免許証
- 保険証 など
このような方は「無職」と答えればOKです。
署名・捺印がありますので、認印(朱肉を付けるタイプの印鑑)を持参してください。
公正証書遺言の証人になれない人とは?必要な資格や要件
公正証書遺言の証人は、誰でもいいわけではありません。
証人になれない人もいます。
公正証書遺言の証人になれない要件とは、次のとおりです。
証人になれない人(欠格者)の要件
- 未成年者
- 推定相続人、受遺者、その配偶者や直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人
- 文字の読み書きができず、遺言の内容が確認できない人
以上のような人には、公正証書遺言の証人になる資格がありません。
資格がない人を証人として立ち会わせてしまうと、遺言書は無効となってしまいます。
人選には注意してくださいね。
公正証書遺言の証人は具体的にどんな人?証人の適格者とは
証人になれない人の要件はわかったけれど、具体的にはどんな人を証人にすればいいの?
このように疑問に思う人も多いことでしょう。
公正証書遺言の証人には、次のような人が適しています。
公正証書遺言の証人に適した人とは
- 証人の欠格者に該当しない親族
- 友人・知人
ただ遺言の内容を外部に漏らすような口の軽い人は困りますね。
また遺言の正しさを証明する証人であるため、人格的にも正直で、信頼できる人物でなければなりません。
公正証書遺言の証人に兄弟・姉妹は選べる?
気軽に頼める人といったら肉親くらいしかいないよ。
このような人の場合、遺言者の兄弟や姉妹にあたる人は証人になれるのでしょうか?
公正証書遺言の証人を、兄弟姉妹にお願いすることもできます。
ただし欠格者に該当しないことが条件。
未成年者、推定相続人、受遺者、その配偶者や直系血族だと、兄弟姉妹でも証人にはなれません。
公正証書遺言の証人を専門家に依頼する場合の費用
「適任者がなかなかいない・・・」そういった方は、専門家に依頼することもオススメです。
公正役場に依頼すれば、証人を紹介してくれるので相談してみましょう。
そのさいの費用は、一人10,000円程度の費用がかかります。
費用の面で比較すると公正役場がら紹介されるよりは割高になりますが、弁護士、行政書士、司法書士などに依頼する方法もあります。
しかし遺言書作成に関する手続きをオールインワンでお任せできるサービスを提供しているところもあります。そのようなサービスをうまく利用すれば「費用は高めだったけど結果的にはよかった」ということにもなるんですよ。
国家公務員には守秘義務があるため、秘密の保持に関して心配がないこともメリットです。
公正証書遺言の「証人」と「遺言執行者」は同一人物でOK?
遺言書を作成するとき、遺言執行者※を指名する場合もあります。
遺言執行者とは
相続財産の管理や、遺言の執行に必要な手続きを行う権利と義務がある者のこと。未成年者や破産者でなければ、遺言執行者に指名することができます。
たとえば、公正証書遺言の証人と、遺言執行者を同一人物にしたいという場合もあるでしょう。
頼める人もいないし
証人と遺言執行者が同じでもいいじゃないか
結論から言うと、公正証書遺言の証人と遺言執行者は同じであっても問題ありません。
ただ証人の欠格事由に該当している人は証人になれません。
たとえば遺言者の子供は「遺言執行者」を務めることはできますが、子供が推定相続人にあたる場合、「証人」は務めることができません。
また弁護士などの専門家に依頼すると、同じ弁護士が「遺言執行者」と「証人」を兼務することはよくあることです。
遺言執行者と証人を同一人物が務めることについては、法的に問題はないので安心してくださいね。
公正証書遺言の証人に専門家を呼んだ場合の報酬
公正証書遺言の証人に適した人がいなかった場合、公証役場が「証人」を紹介することもできます。
ただし紹介される証人一人につき、10,000円程度の手数料が発生します。
弁護士や司法書士などの専門家に依頼すると、それよりも高額の手数料が発生しますが、証人の役だけでなく、遺言作成のサポートや煩わしい手続きの一切を任せられるサービスを提供しているところもあります。
面倒な手続きはよくわからない
法的知識がない
忙しくて時間がないから任せたい
そんな方は、むしろ専門家のサポートを借りたほうが心理的なストレスも少ないでしょう。
遺言書作成のサポート費用は、それぞれの事務所によって額面が違いますので、まずはお近くの弁護士事務所や司法書士事務所に見積を依頼してみるといいかなと思います。
まとめ!公正証書遺言の証人に重責(重大な責任)はない
この記事では公正証書遺言の証人について解説してきました。
証人に選んではいけない人の要件は明確に決まっていますので、よく確認して証人を選びましょう。
証人に選ばれたとしても証人としての役割を担うというだけで、連帯保証人などのように何らかの重責がかかるというわけではないので安心してくださいね。
2人以上の証人を決めなければ、公正証書遺言の作成はできません。
証人の欠格事由に該当せず、外部に遺言の内容などを洩らす心配のない信頼できる人物を選び、公正証書遺言の作成に臨んでくださいね。