公正証書遺言の必要書類一覧!【チェックリスト付き】

公正証書遺言とは、公証役場で作成される遺言書のことです。

自分で手作りする遺言書(ゆいごんしょ)は「自筆証書遺言」といいます。自筆証書遺言について詳しい解説は「自筆証書遺言の要件と文例」をお読みください。

公正役場まで出向いて遺言書を作成するなんて大がかりだなあ

と、ちょっと気が引けてしまう人もいるかもしれません。

しかし公正証書遺言は専門家の助言を受けながら進められるため、大切な遺言が記入ミスで無効になる心配がないなど多くのメリットがあります。

そのかわり、公正役場から求められる必要書類をシッカリと揃えて提出しなければなりません。

この記事では、公正証書遺言の作成に必要な書類をチェックリスト形式でまとめました。

公正証書遺言はこれで安心!必要書類チェックリスト

公正証書遺言の作成に必要な書類は、次のとおりです。

 

遺言者に関する確認書類

□ 遺言者の戸籍謄本(遺言者と受遺者※との関係がわかるもの)

□ 遺言者の印鑑証明・実印

受遺者に関する確認書類

□ 受遺者の戸籍謄本(受遺者が相続人である場合)

□ 受遺者の住民票(受遺者が相続人以外の人である場合)

□ 法人の登記簿謄本(受遺者が法人の場合)

証人に関する確認書類

□ 住所、職業、氏名、生年月日が確認できるもの

遺言執行者の特定資料

□ 住所、職業、氏名、生年月日が確認できるもの

※受遺者や相続人が遺言執行者になる場合は不要

預貯金や有価証券などそのほかの財産

□ 預貯金や有価証券、そのほかの財産の内容がわかるメモ

□ 通帳のコピー(金融機関名や支店名がわかるもの)

財産に不動産が含まれる場合

□ 不動産の登記簿謄本

□ 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書

遺言者とは、自分の財産を相続する人。

受遺者とは、財産の遺贈を受ける人のことをいいます。

ではこれから、それぞれの必要書類について補足説明をします!

遺言者に関する確認書類とは?

公正証書遺言の作成には、遺言者の戸籍謄本や印鑑証明(3カ月以内に取得したもの)、実印が必要です

ただ印鑑証明書のかわりに、運転免許証、住民基本台帳カード(顔写真付きのマイナンバーカード)でもOKです。その場合、認印を持参しましょう。

受遺者に関する確認書類とは?戸籍謄本か住民票が必要

財産を受け取る人の確認書類には、戸籍謄本か住民票が必要です。

もし財産をもらう人が相続人だった場合(たとえば遺言者の配偶者や子供など)、遺言者との関係がわかる戸籍謄本が必要。

ただし遺言者の戸籍謄本にすでに名前が記載されているときは、それで証明できるので必要ありません。

財産をもらう人が相続人でない場合(友人や知人、愛人、事実婚の相手など)は、住民票が必要になります。

証人に関する確認書類!立会証人に適任者がいなければ?

公正証書遺言の作成には、立会証人が2人必要になります。

証人に関する確認書類として、それぞれ住所、職業、氏名、生年月日のわかるものを用意してください。

たとえば住民票や自動車の運転免許証、保険証のコピーでもOKです。

ただしこの証人には、条件がありますので注意。条件とは、次のとおりです。

証人に立てられる人の条件

  • 「推定相続人」、「受遺者」と「それぞれの配偶者」以外
  • 「直系血族」などの利害関係人以外
  • 「未成年者」以外

自分には証人に立てられるような適任者がいない

このような人は、公証役場がかわりに手配してくれるとのこと。

困ったら、公証役場に相談してみてくださいね。

公正証書遺言の証人に関する詳しい解説は、「公正証書遺言の作成に必要な証人とは?」をお読みください。

遺言執行者は決めるべき?遺言執行者の特定資料とは

遺言執行者になる人を決める場合、その方の特定資料(住所、職業、氏名、生年月日が確認できるもの)が必要です。

(遺言執行者が相続人や受遺者の場合、特定資料は不要。)

遺言執行者について説明すると・・・

遺言執行者は「遺言の内容を実行する人」のことで、必ず決めなければならないというわけではありません。

ただのちのち相続人が遺言の内容を無視して勝手に遺産を分割したりしないためには、遺言執行者は決めておいたほうがいい場合もあります。

遺言執行者を決めることが難しい場合、専門家に依頼するという手段もあります。

遺言執行者に適した専門家とは、弁護士や行政書士、司法書士(不動産の手続き)のこと。専門家に依頼すると、スケジュールに沿った手続きを任せておくことができ、相続に関するアドバイスも受けることができるので心強いですね。

預貯金や有価証券、そのほかの財産はメモでOK

預貯金や有価証券などを相続する場合は、その内容を公証人に口頭で伝えます。

特に証明書などは必要ありませんが、それぞれを個別に記載したいなど希望があるなら、通帳のコピーを持参したほうがいいでしょう。

財産に不動産が含まれる場合は?不動産の登記簿謄本は必要

公正証書遺言に所在地を記載する必要があるため「不動産の登記簿謄本」が必要(不動産の特定をしない場合は不要)です。

また財産に不動産が含まれる場合、固定資産(不動産)の評価額を知るために「固定資産税納税通知書」または「固定資産評価証明書」を持参しましょう。

固定資産納税通知書は、毎年4月ごろ、固定資産税を納税しているお宅に郵送される書類です。

それがなければ、不動産のある市町村役場で「固定資産評価証明書」を発行してもらい、持参してください。

公正証書遺言の必要書類まとめ!

この記事では、公正証書遺言の必要書類についてチェックリスト形式で紹介しました。

しかし公正証書遺言の作成にもっとも必要なものは、「遺言者の意思」です。

財産をだれに相続したいかが漠然としていては、遺言書をスムーズに作成することはできませんね。

原案がざっくり決まったら、お近くの公証役場に連絡を入れましょう。

全国の公証役場一覧は、こちら→日本公証人連合会ホームページ

その公証役場ごとに必要書類が異なる可能性もありますので、電話連絡する際、念のため必要な持ち物も確認してくださいね。