宇宙葬とは?依頼できる会社や必要な費用(価格)を解説

 

あなたのお祖父さまのお墓は、あのお空の向こうにあるのよ。

あなたをずっと見守っていてくれるから、お空に向かって手を合わせましょうね。

 

・・・亡くなった人が星になる。

 

21世紀の現代、なんともロマンのある宇宙葬が登場しました。

宇宙葬はガンダムや宇宙戦艦ヤマトが好きだった世代が還暦を過ぎるころ、大きなブームがやってくるかもしれません。

この記事では、そんな永遠のロマンチストに捧ぐ究極のお葬式、宇宙葬のあれこれについて解説します。

宇宙葬とは?海洋葬と同じ散骨の一種

宇宙葬とは、お骨(こつ)を粉末状にしたものを小さなシリンダーに入れ、ロケットに搭載して宇宙空間に打ち上げるという散骨方法のこと。

※遺灰をいれた風船を大空に飛ばし、上空に散骨する方法も「宇宙葬」と呼ばれています。

散骨といえば、海や山に遺骨を撒くものでしたが、これからは散骨場所の選択肢に「宇宙」も入るようになるんですね。

墓を立てると、子供や孫にずっと供養を頼むことになるなあ・・・

散骨ならそんな心配もいりません。

散骨のメリットはお墓自体を遺さないこと。お墓に縛られない供養ができるんです。

宇宙に遺骨を打ち上げる宇宙葬は、いわば空全体があなたのお墓。いつでもどこにいても、遺族は空に向かって手を合わせ、故人を偲ぶことができるというわけです。

散骨といっても、すべてのお骨を宇宙に撒くわけではありません。

一般的には、パウダー状にした数グラムの遺灰を上空に打ち上げるものがほとんど。

大部分のお骨は手元に残すことができます。

宇宙葬はお骨の処分というより、故人と最後の思い出作りをすることが大きな焦点になっているといえるでしょう。

宇宙葬のメリットとデメリット

お墓に縛られない散骨という埋葬方法は、高齢化が進む一方で墓の継承者が少なくなっていく昨今、需要は増える傾向にあります。

散骨には、山や海への散骨のほか、宇宙(空)に散骨する方法が近年注目され始めています。

では新しい散骨方法である宇宙葬には、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリットとデメリットをまとめました。

 

宇宙葬のメリット

  • 墓地や墓石がいらない
  • 墓の継承者が必要ない
  • さまざまな宇宙葬があって面白い
  • SFファンにはたまらない

 

宇宙に散骨するのですから墓地も墓石も必要なく、したがって墓の継承者もいりません

実際に墓を立てると永代使用料も含めると200~300万円ほどはかかりますが、宇宙葬なら数十万円からという手ごろなお値段が魅力。

また宇宙葬と一口に言っても、成層圏に到達したあたりで散骨されるバルーン散骨や、大気圏を越え、ロケットで宇宙空間まで飛ばす宇宙葬もあり、種類はさまざま。

自分の志向に合った宇宙葬を選べるのも面白いですね。

まさにSFファンには堪らない究極の自然葬といえるでしょう。

その一方で、宇宙葬にはデメリットと言われることもあります。宇宙葬のデメリットは次のとおり。

 

宇宙葬のデメリット

  • 親族に反対される可能性がある
  • 宇宙ゴミ(スペースデブリ)を増やす
  • どんな業者に頼めばいいかよくわからない

 

「お墓に納骨するのが当然」という旧来的な考えを持つ日本人が多いのも現実。宇宙葬は進歩的すぎて、親族から反対されることも十分考えられます。

親族で話し合って後々モメごとにならないようにしたいですね。

また宇宙葬には、環境破壊という面からも問題が指摘されています。

宇宙葬のデメリット!宇宙ゴミ(スペースデブリ)の問題が

皆さんは、地球のまわりに、宇宙ゴミと呼ばれるものがあることを知っていましたか?

宇宙ゴミとは、地球の衛星軌道上に浮遊する、古くなった人工衛星やスペースシャトルの破片、宇宙飛行士の落としものなどの人工物のこと。

スペースデブリとも呼ばれています。

これらが、目にもとまらぬすごい速さで飛び、お互い衝突し、微細デブリと呼ばれるものになっているんだとか。

「デブリ」というと、福島原発の燃料デブリを連想してしまう私ですが(←私だけ?)、デブリという言葉には「破片」とか「残骸」という意味があるそうです。

宇宙葬を行うと、打ち上げた遺骨がそのまま宇宙ゴミになってしまう可能性もありますよね。

「夢とロマンのSF葬の実態が、環境負荷となってしまう」ようでは、故人も浮かばれません。

このような問題点から、宇宙葬を依頼するなら、環境的に配慮をしている業者を選ぶ必要があるでしょう。

宇宙葬は法律的に違法ではない?

日本の法律上、墓地や埋葬について次のような定めがあります。

墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)

第4条  埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。

厚生労働省HPより抜粋

また刑法に、次のような記述があります。

刑法190条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する

いずれの法律でも、散骨のような自然葬が合法ではないと示唆しているようにも読み取ることができます。

・・・え?じゃあ、散骨って違法なの!?

そんなことはありません。

1991年に「節度をもって葬送の一つとして行われる限りは問題ない」という見解を法務省が出しており、現段階では散骨は合法ということになっています。

ただ、以上の内容は政府の公式見解として、文書に残されているわけではなく、しっかり「散骨は合法だ」と断言されているわけでもありません。

国として「違法とまではいえない」というような、非常にビミョーな状態なんですね。

なにか散骨に関して大きな問題点が出てこない限り、法律に関しては今後もこのビミョーな状態が維持されることになるでしょう

宇宙葬ができる葬儀会社とは?それぞれの費用や特徴を解説

宇宙葬ができる業者は、日本ではまだわずかですが、新しい自然葬のかたちとして受け入れられていけば、次々に増えていくと思われます。

企業による宇宙葬サービスにもさまざまなものがあります。主なサービス(業者)は、次のとおりです

  • 銀河ステージ
  • 宇宙葬sorae(ソラエ)
  • バルーン宇宙葬

次は、これらのサービスについて解説します。

本格的な宇宙葬なら銀河ステージ!セレスティス社と共同

「株式会社 銀河ステージ」HPより

宇宙葬の本場といえばアメリカ。

豊富な打ち上げ実績のあるアメリカの「セレスティス社」と提携し、宇宙葬サービスを展開するのは、株式会社銀河ステージです。

銀河ステージは宇宙葬だけでなく、お葬式や永代供養、樹木葬、海洋葬まで、お悔やみに関するさまざまなサービスを幅広く手掛けています。

本社は東京ですが、名古屋や福岡にも支社があり、気軽に電話で問い合わせられるのも嬉しいですね。

銀河ステージの宇宙葬は「スペースメモリアル」といい、次の4つのプランが用意されています。

 

  • 宇宙飛行プラン・・・カーマン・ライン(高度100㎞)以上の宇宙空間へ
  • 人工衛星プラン・・・最長240年間、衛星軌道を回る
  • 月旅行プラン・・・ロケットで月面までの旅を楽しめる
  • 宇宙探検プラン・・・深宇宙探査機で宇宙の果てまで

 

どの宇宙葬プランも、なんだか楽しそうでワクワクしますね。(できれば生きているうちに行きたいものですが)

特に遺骨を人工衛星に搭載し宇宙空間に旅立つことができる「人工衛星プラン」は、最長240年間、人工衛星とともに地球の衛星軌道を回り続けるとか。

Star Walkというスマホアプリをダウンロードすれば、遺骨が今地球のどのあたりを周回しているかを確認することもでき、「大切なあの人にいつまでも見守ってほしい」という願いが、現実のものになるんです。

どの宇宙葬プランも自分が生きているうちから「生前予約」ができるため、「我こそは!」という方は、一度資料を請求してみてはいかがでしょうか。

費用はプランによって違いがあり、45万円~250万円となっています。

これを高いと感じるか安いと感じるかは、個人の価値観によって異なるかもしれませんね。

費用を抑えて本格的な宇宙葬sorae(株式会社みんれび)

「宇宙葬 sorae」HPより

エリシウムスペース社(本社:米サンフランシスコ)と提携し、宇宙葬サービスを展開しているsoraeは、さまざまなインターネット葬儀サービスを提供する株式会社みんれびが運営しています。

soraeのメリットは独自のメモリアルサービスや、宇宙ゴミとならないための配慮、28.5万円という格安で宇宙葬を行うことができるところなどにあります。

宇宙葬soraeの特徴は、次のとおり。

 

  • 遺灰を詰めたカプセルを人工衛星に搭載し宇宙に発射
  • イベントのネット配信や、記念映像のプレゼントあり
  • 3カ月~数年かけて地球を周回
  • soraeの専用アプリで現在位置を追跡できる
  • 地球の周回を終えると流れ星となり、無害な形で消滅できる

 

人工衛星で地球の周りをまわり、その位置情報を知ることができることもメリットですが、

最終的に流れ星となって消えてしまう、というシナリオがとても抒情的で素敵ですね。

これほど盛りだくさんの内容なのに、費用はたった28.5万円とは驚きです。

巨大な風船が成層圏まで到達「バルーン宇宙葬」

さまざまなメディアにより取材を受け、40年来の実績がある企業が手掛ける宇宙葬が、バルーン宇宙葬です。

バルーン宇宙葬とは、遺灰をバルーンに詰め上空高くで散骨する方法で、株式会社バルーン工房が特許を取得したオリジナル。

バルーンは好みのカラーを選ぶことができ、大空にカラフルなバルーンが舞い上がる姿は、壮大なロマンを感じますね。青い空の向こうにかすかな点が見えなくなるまで、ずっと見守りたくなる、そんな余韻のある宇宙葬ができそうです。

バルーン宇宙葬の場合、遺灰すべてをバルーンに詰めることも可能。すべての遺骨を散骨したいという希望にも沿うことができます。

ただ電線や高層ビルなどがないところで、天気の良い日に実施することが望ましいとのこと。

バルーン宇宙葬の基本費用は24万円~

全国にある代理店「バルーン宇宙葬の会」から問い合わせや申し込みが可能です。

宇宙葬の費用は20万円台から!ドラマチックに星の瞬きの中で眠ろう

この記事では、いま話題の宇宙葬についてお伝えしました。

宇宙葬と一口にいっても、スペースシャトルで打ち上げるものや、人工衛星で地球を回るもの、風船に乗って大空まで飛行するものなど、さまざまなプランがあります。

費用もプランによって幅があり、20万円~200万円台までさまざま。

「墓を建てる金銭的余裕がない」「子供がいないので墓を守るものがいない」などの理由から「死後は墓を持ちたくない」という考えの人が増えています。

遺骨は思い出の場所に撒いてほしいという散骨という埋葬方法も、これからは需要が増えるのではないでしょうか。

現在、バルーン宇宙葬を除き、主流を占める宇宙葬はアメリカで行われるものばかりです。

しかしロケットの打ち上げ実験を民間企業が実施するニュースが紙面を賑わせ、宇宙への希求が高まる昨今、需要が増えれば「国産宇宙葬」も夢ではないかもしれませんね。