特別養護老人ホーム(特養)の入所条件とは?入所しやすい年齢や要介護を解説

特別養護老人ホームに入所するための条件

特別養護老人ホーム(特養)とは、市町村や社会福祉法人などの公的機関が運営する介護保険施設です。

介護保険サービスを利用できるため、民間主導の介護施設より割安な値段で利用できるのが魅力。

多くの人が「入所したい!させたい!」と希望する特養ですが、近年、医療介護総合確保推進法の施行により制度改正し、入所するための条件がより厳しくなりました。

入所希望者が多い特別養護老人ホーム、どのような入所条件があるのでしょうか。この記事では特別養護老人ホームの入所条件についてわかりやすく解説します。

厚生労働省が定める特別養護老人ホームの入所条件

特別養護老人ホームは、国(厚生労働省)によって運営方針が定められる介護老人福祉施設。その入所条件とは、次のとおりです。

 

特別養護老人ホームの入所条件

  • 65歳、要介護3以上の人
  • 特定疾病認定を受けている40歳以上の人
  • 特例入所条件に該当する人

 

以前より特別養護老人ホームの入所条件が厳しくなったことで、本当に介護が必要な緊急性の高い人から順に入所できるようになりました。

その一方で、要介護判定の低い人は入所できなくなってしまったのです。

これまで全国で50万人以上もいた待機者が解消され、空室が出ている施設もあるということです。

特養の入所条件は要介護3~5の65歳以上高齢者

特別養護老人ホームの入所条件は、原則「要介護3以上の65歳以上の高齢者」であること。

要介護3~5の基準とは、次のとおりです。

 

要介護別の状態区分  

要介護3
  • 身だしなみや身の回りの世話がほとんどできない
  • 立ち上がりや片足での立位保持などがほとんどできない
  • 歩行や両足での立位保持などの移行の動作が自分でできないことがある
  • 排泄が一人でできない
  • いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられる
要介護4
  • 見だしなみや身の回りの世話がほとんどできない。
  • 立ち上がりや片足での立位保持などがほとんどできない
  • 歩行や両足での立位保持など自分ひとりではできない
  • 排泄がほとんどできない
  • 多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある
要介護5
  • 見だしなみや身の回りの世話がほとんどできない
  • 立ち上がりや片足での立位保持などがほとんどできない
  • 歩行や両足での立位保持などがほとんどできない
  • 排泄や食事がほとんどできない
  • 多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある

※この表は、平均的な要介護の状態であり、実際に認定を受けた人の状態とは一致しないこともあります。

 

入所の基準となる要介護は、どの程度の要介護状態にあるかを判定する「要介護認定」を受けることで認定できます。

要介護認定は、市町村に設置される「介護認定審査会」において、主治医の意見書や心身の状況に関する調査などから審査が行われ、どの程度の介護が必要になるのかを認定されるというわけ。

そして特養に入所が認められる基準というのは、「常に見守りが必要」な状態にある人かどうかが基準になっているんですよ。

特養に入所条件に当たる「特定疾病」とは具体的にどんな病気?

特別養護老人ホームには、「特定疾病認定」を受けた人であれば40歳以上でも入所することが可能です。その特定疾病とは、どのようなものでしょうか。

特定疾病とは

心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられ、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し、要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病のこと。

厚生省ホームページより抜粋

では、特定疾病にあたるのはどのような病気なのでしょうか。特定疾病の具体的な範囲については、次のとおりです。

特定疾病の範囲

  • がん(末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

このような病気を患っている方は、40歳から特別養護老人ホームに入所できる可能性があります。

条件に該当しなくても入所できる?「特例入所」とは

法改正をうけて、より介護の必要性の高い人から介護サービスを受けることができるようになりました。

しかしその反面、条件に該当しない高齢者の入所は困難になったといえます。

それは困る!要介護2だけど、入所できないの?

さまざまな事情を抱えている人やその家族にとって、「要介護判定ひとつで特別養護老人ホームへの入所を断念しなければならないなんて納得できない!」という方もいるでしょう。

しかし条件に該当しなくても入所できる可能性があります。

「入所はやむをえない」と判断される場合に限り、入所が認められる「特例入所」に該当するためなんです。

特例入所とは

要介護1~2に方でも、やむを得ない事情により、指定介護老人福祉施設以外での生活が著しく困難であると認められる場合、特例的に指定介護老人福祉施設への入所を認められます。

ではどのような方が「特例入所認定」を受けることができるのでしょうか?特例入所の具体的な要件とは、次のとおりです。

 

特例入所の要件

  • 認知症であり、在宅生活が困難な状態である
  • 知的障害・精神障害を伴い、在宅生活が困難な状態である
  • 虐待されているなど、心身の安全・安心の確保が困難である
  • 家族や地域からの介護サービスや生活支援が十分に受けられず、在宅生活が困難な状態である

 

このような要件に該当する場合、また該当しないような特殊な事情がある場合でも、在宅生活が困難であると認められれば、優先的に特別養護老人ホームへの入所が許可される可能性もあります。

まずは「なぜ在宅(家庭)での生活が困難なのか?」「なぜ特養への入所を希望するのか?」を明確にし、介護保険施設に相談へ行くことがオススメです。

特養に入所したい!入所条件まとめ

この記事では、特別養護老人ホームに入所するための入所条件について解説してきました。

特養に入所するには条件があり、「入所したい」という希望だけでは入所は認められません。

原則、「要介護3~5」の「65歳以上」であることが必要な条件とされています。また厚生省が定める特定疾患であれば40歳以上であっても、優先的に入所が認められます。

もしこの条件に当たらない場合、「なぜ家庭での介護が困難な状況になるのか」という明確な理由がなければ、入所は認められません。

本人の身体の状態や、家庭環境などを客観的に勘案し、入所の必要性を論理的に説明できなければならないということなんですよ。