住宅ローンは死亡すると返済しなくていいってホント!?死亡後に一括返済できる方法
マイホーム購入のため「30年ローン」「35年ローン」など長期にわたる住宅ローンを組んでいる方も少なくありませんね。
この住宅ローン「契約者が死亡すると返済しなくてよくなる」ことを知っていますか?
住宅ローンの契約者は家族の中でもっとも収入がある、いわゆる「一家の大黒柱」。
家族は一家の大黒柱を亡くしてしまったらどうやって生計を立てて行けばいいのか、どうやって残ったローンを返済していけばいいのか、途方に暮れてしまうことでしょう。
そこで利用されている保険が「団信(団体信用生命保険)」です。
この記事では、住宅ローンの契約者が死亡した後、住宅ローンを支払わなくてよくなる団体信用生命保険とはなにか、その手続きの方法や注意点について解説します。
Contents
住宅ローンは契約者が死亡するとチャラ!?団体信用生命保険とは
住宅ローンの残高が、契約者の死亡後はゼロになり、返済が不要になる団体信用生命保険(団信)は、民間の保険会社によって運用されている生命保険です。
住宅ローンの残高がゼロになるということは、つまり、住宅ローンがチャラになるということ。
もしこの保険に加入していなかった場合、住宅ローン返済期間中に契約者が亡くなった(もしくは特定の高度障害を患った)としても、残りの住宅ローンを家族が返済していかなければなりません。
住宅ローンによっては団信への加入が義務づけられているものもあり、また団信の種類によって保障の内容にも違いがあります。
契約者が団信に加入していたことを残された家族が知らない、ということもありえますので、ローンを組んでいる金融機関に今一度確認してみてくださいね。
団体信用生命保険!死亡後に必要な手続きと注意点
住宅ローンの返済をしなくてよくなる団体信用生命保険は、契約者の死亡後、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
手続きとその手順は、次のとおりです。
- 銀行に連絡し、保険会社から送られてくる団信弁済届に必要事項を記入
- 死亡の事実を証明する住民票等と一緒に書類を返送
- 保険金の支払いについて審査がされ、審査が通ると保険金が支払われる
このあと銀行にお金を返済する手続きは、すべて保険会社が代行してくれるので遺族に手間がかかりません。
審査の期間中(1~2カ月程度)も住宅ローンの支払いをしなければなりませんが、審査に通ったあとはその分返金してもらうことができます。
団体信用生命保険の保険金請求はできるだけ早めに
この団体信用生命保険の請求手続きは、契約者が亡くなったあと、できるだけ早い段階で行うことがオススメです。
なぜなら請求期限が、死亡後3年と決められているから。
この3年という時効を過ぎてしまうと、せっかく団信に加入していても保険金の請求ができなくなってしまいます。
住宅ローンの返済が済んだ自宅は、相続することができる財産に変わります。
相続財産になにがあるかすべて洗い出し、遺産相続するかどうか決める必要がありますので、後回しになってしまわないよう、手続きは早めに行いましょう。
抵当権の抹消!住宅ローン完済手続きを完了したら?
団体信用生命保険の保険金請求を行い、住宅ローン完済手続きを完了したら、それでオシマイではありません。
ローンを組むときに設定した担保(抵当権)を外すことが大切。
ここまで完了してしまわなければ、住宅に関してのが重要な一連の手続きが終わったことにはなりません。
抵当権抹消登記のため、管轄の法務局に「登記申請書」を提出しましょう。
この登記申請書の提出を怠ったとしても、ローン自体は完済されているので、自宅が競売にかけれたりする可能性はありません。
しかし将来的に自宅を売却することになったとき、この手続きがしていなければ売ることができません。
また必要な書類を再び集めなおすのに、手間や費用がかかることがありますので、やはりこの機会にすべて済ませておくことがよいでしょう。
死亡後返済しなくてよいその他のローンはある?相続放棄が必要なローンとは
結論からいえば、住宅ローン以外に、本人の死亡後に返済しなくてよくなるローンはありません。
- カードローン
- マイカーローン
- フリーローン
- そのほか分割支払いで購入したものの代金
代表的なローンには以上のようなものがあげられますが、そのどれもが本人が死亡したとしても自動的になくなるものではありません。
通常、ローンはいわゆる「借金」とされ、連帯保証人や相続人が支払わなければならないものだからです。
死亡後はローンは連帯保証人か相続人が支払いを継続していく
団体信用生命保険に加入している住宅ローンの契約者が死亡した場合は、その保険金で住宅ローンを完済することができますが、そのほかのローンではそうはいきません。
本人の死亡後、連帯保証人や相続人が支払い義務を負うことになります。
連帯保証人は、契約者が支払い能力がないなど返済不能な状態に陥った場合、問答無用で契約者に代わって支払いをしなければならないことになっています。
この連帯保証人、厄介なことに、相続の対象なんです。
たとえば亡くなった方が誰かほかの人の連帯保証人になっていたとしたら、その連帯保証人の立場は、その妻や子供など相続人に相続されてしまうのです。
だからこそ「連帯保証人だけにはなるな」といわれるゆえんなんですね。
亡くなった方に住宅ローン以外のローンがあったり、だれかの連帯保証人になっていたことが分かったりした場合、どうすればいいのでしょうか。
「相続放棄」「限定承認」という手段は死後3カ月以内
ローンや借金、だれかの連帯保証人になっていたことが死後発覚したら、急いで相続財産にどのようななものがあるかを洗い出しましょう。
もし借金などの負の遺産の方が大きいと判断される場合、相続放棄や限定承認を行う必要があります。
相続放棄と限定承認の違いは、次のとおりです。
相続放棄とは
一切の財産を相続しないこと。あきらかに借金などの負の財産のほうが大きい場合に適用される。
限定承認とは
相続財産の範囲内で負の財産を相続すること。どうしても相続したい財産があるときなどに適用される。
相続放棄や限定承認は、自分が相続人であると判明したときから3カ月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければなりません。
これをしないと自動的に、プラスの財産もマイナスの財産も一切合切、すべて相続しなければならない「単純承認」となってしまうため、注意が必要なんです。
もし「亡くなった方にローンや借金があるかどうかわからない」という場合は、念のため信用情報機関に照会をかけましょう。
信用情報機関は、通常は本人しか照会をかけることはできませんが、亡くなった後は相続人も調べることができます。
【まとめ】住宅ローンがチャラになる団信に加入しているかがカギ
この記事では、契約者が亡くなった後、住宅ローンの返済をしなくてよくなる団体信用生命保険について解説してきました。
注意すべき点は、次のとおりです。
- 団信に加入している場合のみ適用される
- 住宅ローン以外はチャラにならない
- 住宅ローンを返済した後のマイホームは相続財産となる
契約者の死後、住宅ローンの残高をゼロにすることができるのは団体信用生命保険に加入している場合のみです。
長期固定金利ローン「フラット35」加入者などには、一部加入していない人もいます。
またローンを滞納したときに自動的に解約されていたり、リフォーム時に加入していなかったりなど未加入のケースは、死亡後も相続人がローンを払い続けなければなりません。
また住宅ローン以外のキャッシングやローンは、本人死亡後、なくなることはありません。相続人が返済義務を負うことを忘れないでくださいね。
そして団体信用生命保険でローンが完済された住宅は、遺された家族のものになりますので、自宅は相続財産としてカウントし、遺産分割協議と遺産相続という次のステージに進んでください。