世帯主が死亡したら世帯主変更を!必ずやるべき各種手続きを解説
一緒に暮らしを営んでいる家族のなかで、「誰が世帯主なのか知らない」という方はあまりいらっしゃらないかと思います。
「世帯」とはそもそもどういうものなのでしょうか。厚生労働省の定義する「世帯」とは、次のとおりです。
世帯とは
住居及び生計を共にする者の集まり、または独立して住居を維持し、もしくは独立して生計を営む単身者をいう。
厚生労働省用語解説より引用
要は、一緒に住んでいるか生活費を共有している家族や、単独で生計を営む一人暮らしが「世帯」ですよ、というわけ。
そしてその世帯のリーダーともいえるべき人が「世帯主」。
「世帯主が誰だかわからない」という方は、住民票を確認しましょう。住民票にはその世帯の世帯主が誰になっているか一目瞭然です。
この記事では「世帯主が亡くなったときに必要になる手続き」を解説します。
うっかり忘れていると、思わぬトラブルを招きかねない重要な手続きもあります。期限内にしっかり対応しておきましょう。
Contents
世帯主が死亡したら?世帯主の変更の手続きが必要
世帯主が死亡したら、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
まず人が亡くなったときに必要な、基本的な手続きを押さえましょう。
死亡後の手続きについて詳しい解説は「死亡後の手続きチェックリスト!忘れると大変なことになるかもしれない要注意事項」をお読みください。
このなかでも世帯主が亡くなったときに必要になるのは、「世帯主変更届」です。
「世帯主変更届」は、世帯主が亡くなってから(亡くなったことを知ってから)14日以内と決められています。
また世帯主変更届は、市区町村役場にて手続きします。
国民健康保険資格喪失届や、介護保険資格喪失届と届け出場所・期限ともに同じなので、うっかり忘れないためにも一括で手続きを完了させるのがよいでしょう。
死亡後14日以内に市区町村役場へ世帯主変更届を提出
世帯主が死亡したときなど、現状の世帯主に変更が生じたときは、14日以内に市区町村役場に「世帯主変更届」を提出します。
ただ世帯主が亡くなったとき、残る世帯員が一人の場合は、自動的に世帯主が変更されるので、世帯主変更届の提出は必要ありません。
つまり二人暮らしの家庭で世帯主が亡くなったときは、手続きは不要ということです。
なお届け出に必要な持ち物は、次のとおりです。
世帯主変更に必要な持ち物
- 届け出人の本人確認書類
- 届け出人の印鑑(朱肉使用)
- 国民健康保険被保険者証(世帯全員)
世帯主変更届は、世帯主本人が(亡くなっているため)提出できませんので、同一世帯の世帯員が提出することになります。
また持ち物に本人確認書類が必要。本人確認書類とは、次のとおりです。
本人確認書類とは
1点で確認できるもの 運転免許証・住民基本台帳カード・マイナンバーカード・パスポート・身体障碍者手帳・療育手帳・在留カード・特別永住者証明書・運転経歴証明書(H24年4月1日以降交付)など |
2点確認が必要なもの 健康保険証・介護保険被保険者証・年金手帳・社員証・学生証・医療費受給者証など |
世帯主が変更になると、国民健康保険証の世帯主欄も書きかえる必要が出てきます。
そのため家族全員の国民健康保険証も返却し、新しいものを交付し直してもらいましょう。
世帯主が死亡すると必要になるさまざまな停止・返却・名義変更手続き
一家の大黒柱である世帯主が亡くなると、世帯主変更届だけでなくほかにもさまざまな名義変更やサービス停止手続きが必要になります。
ここでは金融機関や民間企業もふくめ、世帯主が亡くなったあと必要になる手続きをリスト化しました。
世帯主の死亡により手続きすべきものリスト
- 公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更
- 固定電話・インターネットプロバイダなどの名義変更
- 故人の携帯電話のサービス停止
- クレジットカードの名義変更/停止
- 運転免許証の返納
- パスポートの返納
- NHK受信料
以上のほか亡くなった方が株式や不動産、自動車などを所有していた場合、その名義変更も必要になりますが、相続財産にかかわるものは遺産相続の手続きが済んだあとになります。
そのためなかなか「ただちに」「すみやかに」というわけにはいきません。
しかし故人の財産を相続するかどうかを決めることができる「相続放棄」や「相続の限定承認」ができるのは、死後3カ月以内。
遅くとも、死後3カ月までには株式や不動産、車などの財産がどれだけあるのかを把握しましょう。
財産にかかわる名義変更は、その後の遺産分割協議で「だれにどれだけ遺産を分けるか」相続権が確定したあとに行います。
一人暮らしの世帯主が亡くなった場合は注意!NHKの解約手続き
同一世帯の家族が2人以上いる家庭で世帯主が亡くなった場合は、世帯主の名義変更をするだけで問題ありませんが、一人暮らしの世帯主が亡くなった場合は注意すべきことがあります。
それはNHKなど有料放送の解約手続き。
世帯主以外の家族がいるなら、世帯主が死亡してもそのほかの家族が引き続きテレビを見ますので、世帯ごとに支払う受信料に変更はありません。
しかし一人暮らしの世帯主が亡くなった場合、だれも住んでいない家の、だれも見ていないNHK受信料を死亡後も支払い続けることになるかもしれないのです。
受信料の未払い分は故人の負の遺産なので、全財産の相続をしない「相続放棄」を選択しない限り、相続人に支払い義務が課せられます。
しかも「NHK受信料は、世帯主が死亡した月までさかのぼって支払うだけでよい」とは限りません。
厄介なことに、NHKの受信料は、管轄の営業所によって対応が違い、「一人暮らしの世帯主が死亡した月まで」とするところと「解約届けを受理した月まで」とするところがあります。
そのため一人暮らしの世帯主が死亡し、一切テレビを見ていないにもかかわらず解約届けの提出を怠ったがために、放置されている期間中も含め、 未払い徴収されるケースがあるんです。
不条理な支払いを回避するためにも、NHKの解約手続きを早期に済ませることが肝心です。
世帯主が亡くなったときに必要になる手続きまとめ
この記事では、世帯主が亡くなった後に必要になる行政手続き「世帯主変更届」の存在や、そのほかの契約、サービス等の名義変更の必要性について解説してきました。
一家の大黒柱を亡くすことは、書類上でも死亡の事実を申告したり、名義を削除したり、契約を解除したりと多くの手続きで目が回りそうなほど。とても悲しみに浸る余裕はありませんね。
しかしどれもおろそかにすることはできません。
ひとつひとつ確実に解決するためにも、あらかじめ順序だて、計画的にこなしていくことが大切なことだといえるでしょう。