ケアマネージャーとは?介護保険サービスの利用にかかせないパートナーをわかりやすく解説

 

介護保険サービスを利用するにあたり、関わらずにはいられないのが「ケアマネージャー(介護支援専門員)」の存在です。

ケアマネージャーは略して「ケアマネ」と呼ばれることが多く、この呼び名の方がよく使われているかもしれません。

しかし社会的認知度が高い職業というわけでもなく、老親の介護が必要になって初めて、ケアマネさんの存在を知ったという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ケアマネージャーとはどんな人なのか、どのような仕事や役割を持っているのかについて優しく解説します。

 

ケアマネージャーとは?ケアマネの仕事内容を紹介

ケアマネージャーとは、介護サービスを利用するさいに作られる利用計画(ケアプラン)を作成したり、介護給付の管理を行ったり、事業所側との調整を担ってくれる人のこと。

専門的な知識がなければ処理することの難しい介護サービスの世界と、利用者をうまく結びつけ、介護サービスをスムーズに活用できるように誘導するような役割を持っています。

ケアマネージャーの主な役割は、次のとおりです。

 

ケアマネージャーの役割

  • ケアプランの作成
  • 介護給付費の管理
  • 介護サービスの情報提供
  • 介護施設や事業所との調整 など

 

認定調査で「要介護」に認定されると、はじめて担当のケアマネージャーがつけられ、サービスを受けたり相談ができるようになります。

認定調査について詳しい解説は「要介護認定の7つの区分とは?区分変更の申請から却下される理由まで解説」をお読みください。

※このとき認定されたのが「要支援」だった場合、ケアプランの作成は、地域包括支援センターのスタッフになります。

ケアマネージャーの仕事!ケアプランの作成とは?

ケアマネージャーの大切もっともな仕事の一つに、ケアプランの作成があげられます。

ケアプランというのは、本人の家族構成や身体状態を把握したうえで、どのような介護サービスが必要なのかを明らかにし、介護保険が利用できるよう計画を立てること。

ケアプランはケアマネージャーにたよることなく、自分で作成することもできます。

 

 

しかし介護保険やサービスの内容や、利用手順、お金に関することすべてを把握することは、素人ではなかなかむつかしいですよね。

そのためケアプランの作成は、ケアマネージャーにお願いすることが多いです。

ただ全てをケアマネージャーに任せきりにするのではなく、利用者側が希望することはしっかり伝え、その要望どおりにケアプランの作成がなされているかはしっかりチェックすることが大切です。

 

担当ケアマネは運だのみ?電話や面談時の第一印象を大切に

担当してくれるケアマネージャーが経験や知識が豊富な、頼りがいのある方だったら、本当にラッキーですね!

まるでくじやサイコロの「運だめし」のようだと思われるかもしれません。

ケアマネージャーの仕事は、利用者の心身の状況や家族構成、どのような介護を希望するか、金銭的な悩みなどをヒアリング。

時には当事者のプライベートな部分まで踏み込み、ケアプランを作成していかなければなりません。

情報処理能力のほかに、客観的・多角的に物事を判断する能力、正しく内容を聞き取るコミュニケーション能力、今後のプランに役立てていく計画力など、かなり高度な能力が要求されるわけです。

ケアマネージャーにはそれぞれ得意な専門分野がありますし、性格も人によって違います。

すべてがパーフェクトというわけにはいきませんよね。

そういうなかで、当人や家族と相性がよく、能力的に問題のないケアマネに当たることができるかどうか。

とくに口コミに頼るわけでなく、だれかの紹介があるわけでもない場合、担当ケアマネになる人との出会いは、運だのみだといわざるをえません。

そこで大切になってくるのが、ファーストコンタクトとなる電話対応と、面談での印象です。

 

  • 話しやすい明るい雰囲気の人か
  • コチラの言いたいことをくみ取ってくれるか
  • どのような経歴があってどの専門分野か
  • 質問に丁寧に答えてくれるか
  • 信頼できる人柄か
  • なんでも迅速に対応してくれる人か

 

もちろん、第一印象ですべてを把握することは難しいでしょう。

しかしこれから長く付き合っていくことを考え、面談時には疑問点が残らないようにしっかり質問し、それに対する対応力も見極めておくことが大切です。

 

ケアマネージャーとはどんな資格?誰でもなれるの?

ケアマネージャーにも色々な方がいます。

しかし人格的な面はさておき、ケアマネとはどのような資格で、どのような人がなれるのか知りたいですよね。

そこで、ここではケアマネージャーがどんな資格なのか、どのような仕事を担っているのかを解説します。

ケアマネージャーの資格!都道府県管轄の公的資格

ケアマネージャーは国家資格ではなく、都道府県が管轄する公的な資格です。

資格取得の流れを簡単に解説すると、次のとおりです。

ケアマネージャーの受験資格

介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、義肢装具士の資格を所持している者で5年以上実務経験があり、かつ900日以上従事した者

このような受験資格を持つ方が、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、「介護支援専門員実務研修」を受講、レポートの提出することで、ようやくケアマネの資格が取得できるんです。

ケアマネージャーの受験資格をみる限り、かなり幅広いジャンルからケアマネージャーになることがわかりますね。

しかし実際にケアマネージャーになる人は「介護福祉士」からステップアップする人が多いようです。

当事者や家族と直接対応することも多い介護の現場から移行したケアマネージャーだと、自らの経験に基づいたパイプ役をよりスムーズに務めることができるというメリットがあります。

 

ケアマネージャーはほかの地域から選ぶことはできない!

ここで注意しなければならないのは、希望のケアマネージャーに担当してもらいたくても、自分の住む地域ではないところに登録されているケアマネージャーに担当を依頼することはできない点です。

つまり極端な話だと、名古屋市の住民票のある方が、豊田市に登録されているケアマネに依頼することはできないというわけですね。

 

認定調査で「要介護」と認定された場合、市町村役場の窓口や地域包括支援センターの窓口で、ケアプラン作成事業者のリストをもらうことになります。

その中からケアマネージャーを選ぶため、リストにないケアマネージャーを選ぶことはできません。

そのため自分の住んでいる地域に、自分の希望どおりのケアマネージャーがいるとは限らないという問題が出てくるわけなんです。

 

ケアマネージャーと性格が合わない!そんなとき取るべき行動

ケアマネージャー合わないチェンジ
  • なかなか連絡がつかない
  • 親身に相談に乗ってもらえない
  • お願いしていることを実行してもらえない
  • 対応が迅速でない
  • 性格や価値観が合わない

 

このような理由で現在担当してくれているケアマネージャーに、不満を持っている人もいらっしゃるかもしれません。

言いたいことを我慢していても、不満がたまるばかりですし、お互いのためにもなりません。

まずは担当のケアマネさんに「今後はこうしてほしい」という希望を、伝えてみることが先決です。

この時、声を荒げたり感情的になったりしないように注意!

ケアマネージャー合わない場合の対処法

ここでモメると後々のためにもなりませんから、理性的・論理的に「どういうところを不満に思っているのか」「今後はどうしてほしいのか」を丁寧に伝えるという姿勢が大切。

どんな悩みがあるのか、どんなところを疑問をもち、不安に感じているか、腹を割って話合いましょう。

ケアマネージャーは業務上知りえた情報を守る守秘義務を負っていますから、安心して忌憚なく本心を打ち明けることができますよ。

 

ケアマネを変更することはできる?

話し合いを重ねても、問題点の改善がみられなかったり、ケアマネージャー本人に対する不満や不安が解消しない場合は、担当を変えることも可能です。

ただし、人柄が気に入らないからと担当をコロコロと変えたりするような安易な判断はしないほうがよいでしょう。

できるだけケアマネージャーと歩み寄る努力をしたうえで、それでも「どうしても変えたい!」というとき、どのようなアクションを取ればいいのでしょうか。

担当のケアマネージャーを変更するには、次の3つの方法があります。

 

ケアマネージャーを変更する方法

  • 市町村役場の介護保険課か地域包括支援センターに相談する
  • 別の居宅支援事業所のケアマネージャーに相談する
  • 現在の居宅支援事業所に相談する

 

たとえ別の居宅支援事業所のケアマネージャーに変更したからといって、現在の介護サービスまで変更しなければならないというわけではありませんのでご安心ください。

 

ケアマネに贈り物は必要?自分の要望をより優先的に取り扱ってもらう方法

ケアマネに贈り物をすべきか

「担当ケアマネージャーに挨拶の意味も含めて、手土産くらい持っていったほうがいいのではないか?」

そのように心配され贈り物を用意する方もいらっしゃいますが、特に必要ありません。

「手土産や付け届けをしたほうが、しっかり対応してくれるかもしれない」

あるいはこう考え、贈り物をする方もいるかもしれませんね。

しかし贈り物をされた利用者と、されなかった利用者との間で、ケアマネの仕事内容に格差のようなものができてしまうことは絶対に許されませんので、このような心配もしなくて大丈夫。

「ケアマネさんにしっかり対応してほしい!」という気持ちは贈り物以外でも表現することはできます。

 

  • 困ったことは何でも相談する
  • 分からないことはすぐに質問する
  • もっとよいアイデアはないか問い合わせる
  • こちらの意向をはっきり伝える
  • 連絡をこまめにする

 

このようなことを意識して行うことで、「この利用者さんはしっかり対応してほしい人に違いない」と伝わり、決しておろそかな対応はしないはずです。

「ケアマネさんの働きぶりをちゃんと見ているよ!」

この気持ちが伝わることが、もっとも大事なことなんですよ。

 

ケアマネージャーを上手に利用して介護サービスの利用に役立てよう

この記事では、介護保険サービスのスペシャリストである資格保持者である「ケアマネージャー」について解説してきました。

保険の資格を持っているわけでもなく、介護の知識もない一般の方にとって、 介護保険制度や料金についてはわかりにくく、手続きも煩わしいものですね。

ケアマネージャーはこういった分かりにくい介護サービス全般について助言やマネジメントを行い、利用者と介護をつなぎ、スムーズに制度利用まで導くことが役割です。

ケアマネジャーはパートナーといわれるように、相性も大事。

しかし担当してもらってから「やっぱり別のケアマネにしてほしい」と変更してもらうのはなかなか言い出しづらいものです。

「担当」として決定するまでに、電話対応や面談時にケアマネとの相性をしっかり見極めることをおススメします。